IR*ゲーミング学会が学術大会、IRの制度設計などで議論
IR*ゲーミング学会(谷岡一郎学会長)は9月27日、都内港区の第一ホテル東京で第14回目となる学術大会を開催し、日本版IRの制度設計や依存問題などについて議論を交わした。
そのうち、同学会の美原融副会長を進行役としたパネルディスカッションには、ネバダ州ラスベガス大学非常勤講師のAnthony CABOT氏、米クリスチアンセン・キャピタル・アドバイザーズ社会長のEugene Christiansen氏、あずさ監査法人パートナーで公認会計士の丸田健太郎氏、三宅法律事務所パートナーで弁護士の渡邉雅之氏が登壇。7月末にIR推進会議が取りまとめた日本版IRの制度設計案を踏まえ、入場料やカジノの面積制限、日本人の入場制限などをピックアップし、それぞれの課題について意見を述べあった。
なかでも、依存対策として、マイナンバーカードを用いて日本人の入場回数制限を行うという、IR推進会議が示した方向性には議論が白熱。丸田氏は、「需要抑制を強く感じる。特にVIP層の人たちにとって、マイナンバーカードで本人確認されることは文化的にも抵抗があるのではないだろうか。そうなると結局VIP層の海外指向に変化はないだろう。回数制限の枠組みにしても、月と週では違う。週単位なら例えば出張中などにまとめて遊ぶことはできなくなる。この辺りは有効な対策を考えてもいいのではないだろうか」と述べた。
一方渡邉氏は、「かなりハードルは高いが、インパクトは大きい。ただ一つ誤解があるのは、マイナンバーカードそのものは行政機関しか利用できず、ここではマイナンバーカードに搭載されているICのID情報を活用するということ。さらにその情報は、一元的にカジノ管理委員会が管理する。今マイナンバーカードの普及率は9.7%ほどだが、カジノができるのが早くて2025年頃だとすると、それまでにどれ位普及しているかということもあるだろう。これについてはその状況を踏まえつつ妥協が必要になるのかもしれない」との考えを語った。
またCABOT氏は、「そもそも、カジノへの入場制限が依存対策として科学的な根拠がなく、そういったものはやらないことだ。それにカジノを週一で制限しても、週の残りをパチンコで遊んでいた場合はどうなるのか」と指摘。パチンコを引き合いに出しながら反対意見を述べるとともに、過度な規制がカジノオペレーターの投資判断に影響を与える点を日本は考慮すべきとの見解を示すなどした。
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